セントバーナード写真とピンボケ親爺のブログ

セントバーナードのピンボケ写真とピンボケ親爺が綴るピンボケなブログ

何故『近親交配』は、疎んじられるのか?


今日の写真は、全て先週パソコンが壊れリカバリーも不可能と宣告され、やり場のない腹だたしさと怒りでカメラをぶら下げて近くの国設「滝野すずらん公園」にチューリップが見ごろと言う情報を得ていたので憂さ晴らしに公園の身障者用電動カートを借りて撮りまくった写真の一部である。
この種の写真は、得手でなく善し悪しを考えずに場当たり的に取り出したもので上手か下手かは、皆さんの判断に委ねるしかない。

さて、本題に入ろう。
私は、繁殖について色々指導をして頂いたのは、サンフランシスコでエコー犬舎の犬舎主キャロルトム女史からで彼女は、中学校の教師でありハンディキャップの生徒のクラスの担任であった。
私が当時のアメリカ三大ドッグショーのひとつであるサンフランシスコの「ゴールデンゲイトショー」を見学に行きセントバーナード犬種の審査を見ていて多くの似たような顔と体型の犬が勝ち残りBOBそしてBOSもこの犬たちの中からピックアップされていた。
日本では殆どみられないオレンジ色のバランスの良いコンパクトな犬たちに興味を持った私は、早速サンフランシスコ市内のオーナー宅を訪ね繁殖のポリシー(基本姿勢)をお伺いした。
先ず熱く語られた事は、
スタンダードを良く理解する事
スタンダードを理解しなくて繁殖をするな。
という前提で
①系統内交配(同系内交配)
②系統内近親交配
③ショートヘアーを基礎
流石にアメリカセントバーナード界で最も近親交配を研鑽し
重要視する繁殖家の言葉だなと思った。
「日本では、近親交配をすると奇形児が生れたり病的体質の子供が生れる。と言って避ける傾向にありますが?」と質問すると
単純明快な答えが返ってきた。
「それは遺伝の問題ですよ。悪性遺伝子を持った両親からは、当然その様な子どもたちが生れて来ると思います。
我々の先輩や祖先犬も当然その問題には、直面してきています。アメリカにスイスのセントバーナードが輸入された1920年代初頭からその大達の遺伝的疾患の少ない事や犬の外形的なバランスの良さが良い評価を受けイギリスセントバーナードからスイスセントバーナードへと短期間で入れ換わった。
そして、悪性遺伝子の継承と確定的に判断した時には、どんなにドッグショーで良い成績を残した犬であっても淘汰した歴史がある。
その結果我々の系統内の犬の交配であれば、近親交配を繰り返しても外面的な奇形や内面的病的疾患の継承は、まず余り聞かない。
雑種強勢(heterosis)という言葉があるように系統外同士の両親の掛け合わせの場合には、消極的な遺伝子が顕出する可能性が高くなるので私は、大きな目的が無い限り試みも計画もしない。
と約4時間に渡るお話を聞き目からうろこが落ちる感じで私の繁殖の考え方に大きな影響と実践へと変化をさせられた。


一般的には、
5親等或いは、6親等、言い換えれば
5~6世代の先祖の中に同じ親が1頭でもいれば、近親交配と一般的に理解されている。
人類の場合奇形かどうかは、医学的な評価と判断で決まる。
純粋犬種の場合は、獣医学的見地とスタンダードで決まる。
奇形とは、

『外形的』に、正常な形でない身体の欠損過重を指して言う。
これには、指の異常、関節の形成不全、スタンダードで欠格と規定されている外形的項目etc
『内面的/精神的』に、病的疾患をもって生れたものを言う。

これには、後天的な事故以外の癲癇、内臓器疾患、人に対して攻撃性襲撃性のある性格etc


それでは、【異系統繁殖(out breed)】ならは、奇形児は、顕出しないのか?
少なくともアメリカのセントバーナード界は、東海岸系統(mallen line)と西海岸系統(Sanctuary Woods line)の系統間のアウトブリードをする人は、余程の初心者でない限り現在では、居ない。それは、両系統のタイプを損なう事が50年以上も前から実証されて指導的なトップブリーダーが雑交(交雑)を行わないからである。
アウトブリードであれラインインブリードあれ奇形児の顕出は日本と比べるとはるかに少ないと思う。
アメリカのセントバーナード界は、伝統的に医学系、獣医系の専門的智識人が多く又指導的立場にも積極的に活動している為遺伝的疾患については、非常に厳しい姿勢をとってきたからだと言われている。


翻って
日本では、如何であろうか?
残念ながら経済大国日本は、遺伝的疾患やスタンダードの理解と犬識は、繁殖者・繁殖屋・ドッグショー愛好家は特に積極的に勉強しなくてはならないのに低開発国並みの日本セントバーナード界である。
日本のセントバーナードの多くは、イギリスセントバーナードを基礎にしたスイスアメリカセントバーナードとの異種交配の末裔である。
雑種の第一世代は、雑種強勢理論から考えると良いとこどりの犬質の良いものが生れる可能性が高いが潜在していた好ましくない遺伝子が強く顕出する可能性も高い。
二代三代と雑種交配を続けると後世代になる程、逆に雑種弱勢という事になり潜在遺伝子の顕出が顕著になり悪性遺伝子の顕出度も高くなると理解している。


悪性遺伝子の淘汰は、近親交配であろうと異系統交配であろうと思いは、一つでなくては、ならない。
我々医学的獣医学的知識の乏しい人間は、出来る事と言えば悪性遺伝子の顕出と判断した時には、その犬を淘汰する勇気を持って対処するしかない。
実際、私も二頭の「癲癇」の報告を受けその父親と母親の全ての交配を、忌避し死亡するまで見守った事がある。


私は、1980年代以降アメリカから導入した犬は、Sanctuary Woods (サンクチュアリーウッヅ)ラインの犬たちで血統的にもかなり重なりあっている。
系統のタイプと犬舎の特徴を固定化するには、系統内近親交配を繰り返さなくては、ならないのは、繁殖家の通説であり常識である。
その為には、何世代にも渡って外形的内面的精神的正常健全な交配ストックからでないと生れないと言う事を理解してもらいたい。

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